登場するキャラクターについて


 魔人竜生誕には様々なキャラクターが存在する。それらにはパク……参考にしたモトネタ
や設定の理由等が当然ある。天から降ったり地から沸いたりしたキャラクターなど存在しない
のだ。ここでは主要キャラクターについて書き記そうと思う。なお、ここに書いてある事は
品を読んでくださった事を前提にしているので、知らない人が読んでもな
んのことやらさっぱりわからないかもしれない。


羅田 明
 
 23歳で職持ちの主人公は和製ヒーロー物では珍しいだろう。だがアメコミ世界ではわりと普
通なのだ。頼れそうな主人公にするため、既に一人立ちしている男と設定した。その上で自分
が男らしいと思うキャラクターをモデルにする。実名を出すと問題があるかもしれないので詳し
くは伏せるが、モデルが一つや二つでない事は明記しておく。ただ、特に意識したキャラク
ターが二つありそれは苗字と名前をみればわかる人にはわかる
だろうとだけ書いておこう。
 ゲームブックとしてはかなり個性の強い主人公になったが、自分はヒーロー物に無色透明主
人公は不要だと思っている人間でありわざとこうした。そもそも変身超人という時点で読者と
の一体化など無理というもの。まぁ広い世間には一人ぐらいいるのかもしれないが、大半はそ
うでないただの人間だろう。というわけで「主人公の行動・活動を見て楽しんでもらう」
いう方向性で物語を考える事にしたわけだ。明がたまに非常に突飛な行動を取るのはある種
のウケ狙いも有る。鉄の扉に鍵がかかっていたら叩き破りたくなる事だってある筈
だ。自分などはしょっちゅうである。
 変身後は基本的に力任せのパワーファイターだが、これは今時の主人公の主流が特殊能力
に頼って戦うタイプだと感じたので、あえてこうした。
 なお、美形・天才・華麗という三つのキーワードを意図的に外した結果、古いタイ
プの男になってしまい時代逆行も甚だしいが自分的にはこれで良しである。

 それなのになんとこいつの絵を描いてくださった方を先日発見! 今
時ゲームブックのキャラの絵を! どこかから幻覚攻撃を食らったのかと一
瞬だけ我が目を疑った。
 その方の名誉のために付け加えておけば、これはあまりに意外だったためのやむを
得ない症状であり、その絵自体は上手であった事自分が内心大喜びしている事
は付け加えておく。実は自分のイメージより遥かに若かく描かれていたが、作中の選択によっ
ては問答無用な行動を取る事がたまにあるので血気盛んな青年と見る人がいても不思議では
ない。


若山萌 緑

 創土社に送った初稿では、彼女しかパートナーは存在しなかった。他の二人を追加するのは
2年後、酒井さんの指示下にて本格的に製作に取り組んでからである。
 緑にも一応モデルとなったキャラクターは存在するが、モデルを意識して作ったのでは無い。
まず方向性と特徴を決めてから、イメージしやすいように近いキャラクターを意識したのだ。
 ヒロインを作ろうと決めた時、考えていた方向性はたった一つ。「明とは対照的なキャラ
クターにしよう」。これだけである。
 そこから性格や行動、設定等を考えた。ですます調で話すのも、争いを嫌うのも、笑顔の場
面が多いのも、敵相手にクソの役にも立たないのも、ウザイ事ばかり抜かす連中になんとか理
解してもらおうと必死で訴えかけるのも、なにかと感傷的だったりするのも、全部が明あって
の特徴なのだ。
 こういう成立過程のせいか、酒井さんと自分には緑について認識のズレがあったりもした。酒
井さんは「真面目で大人しい大和撫子」と受取っていたようだが、自分的には「お人よ
しだけしか取り得の無い、ちょっと夢見がちな娘さん」である。
 なお、名前は「植物の若い神さま」ぐらいの意であり、特にモトネタは無い。「俺の屍を越えて
いけ」というゲームから名前のゴロみたいな物は参考にさせてもらっているが、名前そのもの
はかなり適当である。「萌」という字はギャルゲーにて精神的勃起のごとき意味で使われている
が、もとは植物が繁茂するの意であり、この字を避けるのはなんだかギャルゲーを気
にしすぎているような気がしたのであえて使った。
 振り返ってみれば古いタイプのヒロインになったが、何年もかけて作った作品なので流行を
追いかけても追いきれなかっただろう。まぁこれはこれで良しである。

 そんな緑だが、絵を描いている人を別の場所で発見! 世の中の広さをこ
こまで実感したのは初めてだ。なんかスゲー。だが何がスゲーのか貧弱な頭脳
ではわからぬ。とりあえず描いてくれた人が凄いという事で間違いはないだろう。


白蛇 石丸

 本格的に取り組み始めてから、酒井さんから一つの提案が出た。
ストーリー部分がボリューム不足ですね。主神を複数用意し、物語の分
岐を増やしませんか?」
 酒井さんが「例えば〜」と提案したのは、気の強い娘や友人としての青年などだった。主神を
増やす事を了解した自分が提案を元に考えて作ったうちの一人がこの石丸である。友人として
の青年を考えたが、「人間の姿である必要は無い」との閃きにより石丸が生まれた。
 蛇なのは、古来より蛇は不死を象徴する神聖な生き物とされるケースが多かったため。その
際には水に関わる事が多いが、緑の存在を踏まえ、あえて大地の神という事にしておいた。石
丸という名前はここから来ている(地丸にしようかとも思ったのだが)。
 性格は、明と対照的で緑とも異なる事を意識した。「友人」を「ダチ公」ぐらいのニュアンスに
考えてあの性格に。酒好きなのは蛇だからというだけで決めた
 結局、酒井さんが一番良くできていると認め、自分的には一番書き易いキャラクターとなっ
た。上手くいったので良しである。

 ネット上でいろいろ調べてみた所、どうもパートナーとしては石丸の評価が一番高い
ようだ。正直意外である。ピーナッツを頬張る蛇なんぞ隙間狙いの大穴だと思ってい
たが。尤も、この本を買うような人間には自分や酒井氏と感性の近い人が多いというだけかも
しれない。


川浅瀬 小太郎

 酒井さんの提案した気の強い娘というキャラクターから出発した筈の小太郎だった
が、女二人に獣一匹ではバランスが悪いと感じる。そこで根本的に変更。
 勇者シリーズと称されるロボットアニメシリーズに毎回いた「主人公と共に行動す
るレギュラーの少年」にする。他の二人と差別化するため、小太郎だけは戦いに対し
積極的に。この性格とコンセプトだけでほぼキャラクターが決定した。
 植物と大地は使ってしまったので、他に山地にいそうな神様を考えて小川の神に。三人の中
で一番我の強いキャラクターになったが特に問題は無いだろう。
 そんな小太郎で一番印象に残っているのが、酒井さんが「これが小太郎の真EDですよ
ね?」と言われたエンディングが自分的にバッドエンドの一つだった事。まぁ認識の違い
は常に存在するのが当然なので良しである。


草度社の酒林氏

 モデルの説明は不要だろう。某漫画登場の敏腕編集者+編集の酒井氏である。
 当初、社会に対して情報操作を企む敵と普段はアレな事ばかりしているのにその企みを知っ
てしまう者……こういうパターンの話を作ろうと思った。
 というわけで最初はあのキャラまんまな奴だったのだが、復刻版パンタクルの4コマに描かれ
ていた酒井氏がメガネの編集者だったので本人に無断でこんなキャラにしちまった。
 よく怒らなかったものだ、ホント。他の出来事もあって、自分は酒井氏をかなり冗談のわかる
懐の広い人だと思っている。ボツエンディングの中なんかには頭の固い懐古主義者
なら自分へカミソリを送りそうな物もあったのだが、酒井氏は喜々として許可してくれた
のが印象深い。
 結局、自分が不要と判断したんで許可を貰った案を自分で没ったりしたんだが。


穀等靖居・上村食品・カレー店永海屋・仲村和樹

 やっちまった……これ全部、自分が大学生の時の同級生にしてサークルの仲間
わ。
 安井・植村・永宮・中村。全員が全員、愚にもつかない馬鹿野郎ばかり。4年間一緒に過
ごした自分が言うのだから間違いはない。こいつらと一緒にいると、類は友を呼ぶとい
う言葉が本当なのだと納得せざるを得なかった。
 なぜそんな連中と一緒にいたかといえば、言うまでも無いので書かない。だから類は友
を呼ぶと書いたばかりだろうが。
 原哲夫の超名作「花の慶次」を読んだ後にTRPGをプレイすればプレートアーマーとグレート
ソードで武装した戦士を作って敵と見れば斬り込み期待通りにファンブルを叩き出して
利き腕をヘシ折りグレートソードしか用意していなかかったため片腕では戦えず棒立ち
のデクと化すようなプレイを慣行する、そんな連中とつるんだら4年間ズルズルと組
むしか無いという事だ。
 なお、本人達には無断で名前を使わせてもらっているが問題は無い。


敵キャラ全般

 基本的には虫。名前はモデルになった虫の名前を語感重視で適当に改造した。モ
デル→名前→能力→外観の順に決めたので、原型を留めていない事もしばしば。

 ガヌァヴ→カナブン
 ヴァーエー→蠅
 ガモス→蛾(ガ+モスでガモス)
 ゲーラー→オケラ
 ヤムスカディ→ヤスデ+ムカデ
 ヴォーデッド→蜂(ホーネット)
 アジリール→アリジゴク
 ガクウェルオゥ→カゲロウ
 アグリディエ→バッタ(ショウリョウバッタの学名はAcrida cinerea)
 ブンロガズィ→フンコロガシ
 ビムージンド→カブトムシ(ビートルとカブトムシを適当に継ぎ接ぎしたのが名前の元)
 ムズィベラ→ムシケラ


藤堂 正志

 ライバルキャラとして生み出した正志だが、短編的な話が連続する作品に一つの流れ
を生み出し、敵側の情報を主人公に伝えるというなんとも便利なキャラでもある。
 明と差別化するため、そしてロンゲの美形で大物ぶりたがるというライバルキャラ
のパターンを破るため、明より年下で口調はざっくばらんなヤンチャ風味に。上位の霊神
将という表現のため、明が素手である事を踏まえて武器を持たせた。
 さらにそんな正志の関係者でもある金色の方は、正志とさらに差別化するためですます
調で話す真面目そうな奴に。まぁそんな奴だからこそ、わりと喧嘩っ早い正志をかばって先に
逝っちまったりするわけだが(合体奥義の性質上そうなるな)。

 こいつも絵を描いてくださる方がいて驚いた。説得力のある絵で二度
びっくりだ。やはり視覚に訴える表現は侮れん。でも(自分の脳内設定では)身長190もありま
せんぜ、コイツと金色は。絵師さんに伝えた設定では「身長173cm、体重69kg」なのです。
脱げば引き締まっているだろうけど。霊神将は生神力が高ければ高いほど肉体の限界に囚わ
れないという脳内設定がありますので。
 物理的な限界を超える力を持っているのだから、その力が高ければ当然物理的な肉体に頼
る比重は減るのです。よってパツキンロンゲ優男でも女子中学生でもライバルキャラ
はやれたのだがそれじゃあ明と向き合わせた時にバランスが悪
のでやりませんでした。
 つまるところ結論としては、お気に召したなら光栄ですありがとうござい
ます、という事だ。



 こうして見ると、まずどんなタイプを用意するかを考えてから、その傾向に沿って細部を詰め
たキャラクターが多い。だがこれは仕方あるまい。もし自分の趣味と好みだけで作っていたら
どこかから訴えられる物になってしまっただろう。
 キャラクターを用意したら、後はそれを使ってストーリーを組み立てていくだけなのだが……。

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