創土社から本を刊行して頂いた身の上故、同社のゲームノベルを無視するわけにはいくま
い。しかしソーサリーはあちこちで語られ、グレイルクエストも送り雛も根強いファンがおり、鈴
木作品は所持しているのが飯を食うより当然の事。

　いや、まだあったぞ。この「竜の血を継ぐ者」が。

　もともとは某社から出ていた「ドラゴンバスター」のリメイク作品であるはずが、主人公は青年
剣士クロービスから女性剣士レイラへ変更。胸の大きさが強調されたりアイテムの中
にコスプレみたいな鎧があったりとなかなかライトな雰囲気に……なっているかと思え
ば、内容はダンジョンハック＆インフレレベルアップの追求という、ウィ
ザードリィ一家の一員かと見紛う展開だったりする。

　ダンジョンを一つ突破する度に敵の戦闘力は急激にアップ。ラスボスともなれば、普通に道を
歩いてきただけの主人公ならば一瞬でゴミクズのごとく葬り去るやりすぎ気味な戦闘力。だが
ここで文句を言う奴はケツの青い素人だ。

　システムを利用し、突破済みのダンジョンへ再度武者修行の旅へ！　武具を鍛えてくれる人
物（？）と知り合ったらしつこいぐらいに何度も出向け！　戦えば武器を損耗させる敵を倒すた
めだけにわざわざ使い捨て用の剣を一本買っておくのはもはや常識！　あちこちのパワーアッ
プ要素を徹底的にしゃぶりつくし、スタート時点の自分と比べようものなら神とムシケ
ラのごとき差があくほどまで己を鍛えあげ、ヤケクソに強いラスボスに渾身の一撃を見
舞うのだ！

　力が正義！　強さが真理！　パワーイズジャスティスフォーエ
バーバンザーイ！

　もう主人公は戦闘用サイボーグとかにして挿絵はダイナミック
プロに頼めばいいのではと思わなくもないが、世の中にはバランスというものが必
要だ。稟とした女性剣士が主人公なのは、どこを見ても殺伐としているゲーム内容をマイルド
にするため必要な措置なのだろう。

　その女主人公に本文イラストが無かったり、剣の一閃で体長１５メートルの緑竜が血の海に
沈んだりするのは持ち味として受け入れるべき事なのだ。本当だ。信じろ。

プレイ記録はこちら。