ゲームブックファンならば知らねばモグリというべき、英国発祥のゲームブックシリー
ズ「ファイティングファンタジー」。FFと言えばスクエアエニックスのコンシューマーRPGシリーズ より先にこちらを思い浮かべるようになれば第一関門突破だ(褒美は無い)。
そのシリーズの祖であるS・ジャクソンとI・リビングストン。そのリビングストンの方が執筆した
のがこれ、シリーズ第26弾「蘇る妖術使い」である。
リビングストン氏の手腕が見事に発揮され、古風な剣と魔法の中世西洋的幻想世界としては
王道ながらも波乱に富んだ冒険物語である。これでたった一つの欠点、イカサマ無し でのクリアが不可能というバランスの悪ささえ無ければ、シリーズ中どころかゲーム ブック全体でも屈指の名作たりえたのだが……。
主人公の能力値をサイコロの乱数で決めるのだが、並み程度ではその時点で死亡確定(低
ければでは無い)。道中、プレイヤーの運以外で回避が不可能な即死罠を3つも4 つも潜り抜け、手に入れてなければ死亡決定な必須アイテムと必須情報を10個以上 探さねばならない。死に覚えながら運でなんとか突破すれば、主人公の戦闘力では敗北 するしかない強さのラスボスが情け容赦無くとどめを刺してくれるといういたれりつくせり な出血大サービス!
本に火をつけようかと本気で悩んだのはこの作品が初めて
だ。
全ての能力値が平均的な主人公を作り、死んだらその場で全能力値完全回復というルール
でプレイしてみたところ、クリアするまできっちり30回死んだ。
このゲーム最強にして最悪の罠が、サイコロをふってプレイするかのよう
に書いてあるルール部分である事はほぼ間違いない。
|