自分はその昔、TRPGを趣味としていた。毎週のように集まっては、内輪でしかウケない
馬鹿ストーリーを持ち寄りダイス目に一喜一憂し笑ったり怒ったりと無駄に忙しかっ たものである。
古参TRPGゲーマーなら、ファンタジーと言われてどんな物を思い浮かべるか。剣と魔法
万々歳、挿絵は洋風の絵画的な絵であるべし、戦士は逞しく・魔術師は怪しく・僧侶は カッパ禿・盗賊は氏素性不明の犯罪者。まぁこんな所ではあるまいか。
もう少し若い人ならまた違うかもしれない。アニメ的必殺技万々歳、挿絵は綺麗に可
愛らしく、勇者は伝説の剣を持つ少年・僧侶は幼馴染の女の子・魔術師はロンゲの美形・盗 賊はケモノミミの幼女。こういう世界が大好きな人もいるだろう。
自分はどっちも大好きだ。
我ながら無節操だと思う。それもこれも、全部このT&Tのせいである。ゲームブックで
遊んでいた自分にTRPGの存在を教えてくれたのがこのゲームであり、TRPGとはこういう ものだと叩き込んでくれたのもこのシリーズだ。
シナリオ冒頭での注意事項に「動物のキャラクターを使う人は注意してください」。
熊や猿でプレイするのは前提に含まれているようだ。
ダンジョンの最初の部屋にて、昼間からビール樽をあけている小太りの岩悪魔(岩石の怪
人)に遭遇。しかもそれがこの迷宮で同行する仲間ときた。どんな反応をしていいのかわ からねぇ。
次のシナリオではまた別の岩悪魔が酒場を経営してやがる。普通にそこらへ住んでい
るのか。この岩悪魔って連中は。どんな世界だよ。
やたらと即死罠が多いし、能力値が10点単位で上下するし、勝てない敵にゴミクズのように
蹴散らされるし、かと思えば攻撃力3桁の武器とか平気で落ちてるし、剣と魔法の世界な のにUFOとか宇宙人とかが何食わぬ顔で出てきやがるし、「君のキャラク ターがオークならば」とか当たり前みたいに選択肢を用意して いるし(アメリカではオークでキャラクターを作るのは普通なのか?)、もう何がなにやら自分 にもさっぱりだ。
これがデフォルトになってしまうと、多少無茶な世界でも受け入れる気になろうというもの。極
彩色のモヒカンドワーフがトロールに齧り付くもよし、逆毛の勇者が必殺剣を繰り出し魔王とタ イマンはるもよし、顔色の悪い枯れ木みたいな魔術師の呪文でゴブリンどもが毒の雲の中で 悶死するもよし、ミニスカニーソックスの青髪少女がキラキラ光る天使を召喚するもよしだ。
こだわりが無い事にこだわるというか、そんな事を考えもしないというか、ポリシーが無
いのは良くない事では有るがそれを気にもしないという姿勢があってもいいのではないか。そう 思う自分だが、やっぱり今でもT&Tのセンスは理解しきれていないような気もする。
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