諸王の冠(ソーサリー04)

 剣と魔法の世界・タイタン。そこにあるアナランドという王国から、持ち主に叡智を授ける魔法
の王冠が盗まれた。敵は混沌の大地・カーカバードに根城を構えるマンパン砦の魔術師。冠を
取り返すため旅を続ける君は、ついに敵の居城付近に辿り着いた。難攻不落を誇る砦で待ち
受ける数々の罠を突破し、謎に満ちた大魔術師と決着をつけるのだ!

事前準備

 三巻で七大蛇を全て葬ったので、敵砦に主人公が向かっている事は知られていない。よって
砦内にてアナランドからの間者だと見咎められないで済む。実の所、マンパン砦には辿り着く
だけでも大変なのだが……。何も知らなかった頃は不貞寝するぐらい死んだもんだ。

十二日目

 ザメン低地を歩き山道を上り続けるシーンから最終巻は始まる。しかもじきに日が暮れるの
で寝られる場所をさがせとの事。まだ始まったばかりだがお天道様には逆らえん。山道に
洞穴が三つあったのでどれかで寝る事になる。

 ここは一番小さな穴を選択。入ろうとすると獣の巨大な咆哮が中
から聞こえる。だが恐れず中に潜り込むべきなのだ。123番の
無意味に意固地な主人公の男気に胸を打たれるべし。ひ
たすら突撃すれば、中に居たのがジブジブである事がわかるは
ず。うるさいだけで無害な小動物(多分全四巻の中で一番可
愛いキャラ)は主人公の乱入に哀れ逃げていってしまった。落
ち着いてから洞窟の中を再度調べ、羊皮紙の入った小瓶
発見。羊皮紙には何か書いてあるが主人公には読めないので、
今は荷物に加えておく。有り余っている食料を食べてから就寝。

十三日目

 洞窟の中で起床。石粉小石を拾ってから先へ進む。

 ひたすら登り道を進むと、やがて道が二股に分かれている。ここ
は右を選択。再度延々登り続けるうちに、主人公の側に槍が飛ん
できて刺さる。二匹の女サテュロスが現れたのだ。男のサテュロス
は森の中で角笛を吹くような陽気な連中なのに、女は山道で槍投
げとは恐れ入る。しかも主人公をいきなり肝の据わらぬ野良
呼ばわりときた。ここは強気で罵声を浴びせ返すべし。
ると連中は機嫌よく大笑い、主人公を村に案内すると言い出した。
怪しい話だがここはついていくべし。
 山腹にある広い岩棚に女サテュロスの村はあった。長老シフーリに会わせてもらえるので、
ここで洞窟で拾った羊皮紙を見せる。どうやら先代長老の残した物だった模様。しかしなぜ
渡さずにジブジブの巣なんぞに置いてあったのだろう? しかも具体的な内容は教え
てくれないときた。キ○ヤシ氏なら陰謀論の一つも思いついてくれそうな物だが、
後で礼が貰えるとあれば黙っておくのが大人という物だ。
 女サテュロスに旅の道程を話してやる。彼女らは山地で無いと生きて行けないので、外界の
話が非常に面白いらしい。会った時には既に殺されていた本物のイルクララ湖渡し守が
結構な有名人だった事に驚きながら、マンパン砦の情報、樫木の槍、この付近に隠れ住
むという聖職者コレタスの呼び出し方、いくつもの魔法の道具を貰える。一気に増えた荷物を
抱えて村を後にした。

 山道をさらに登っていくと、休憩できそうな場所を発見した。しかし体力は減っていないので先
へ。枝道を見つけたが、その先は谷で行き止まり。跳び越えるためのロープが設置されている
これは罠なので無視して直進する道を選ぶ。
 次に谷を渡る木の橋を発見。道はまだ直進しているが、ここは橋を選ぶ。渡ろうとすると呻
き声が聞こえるので、ここでコレトゥスを呼ぶのだ。
 現れたのは盲目の老人。彼が聖職者コレトゥスである。まずは聖職者としての職業技術
を求めるべし。これで樫木の槍が凄い樫木の槍にパワーアップ。使う場面はあまり多くない
がな。さらに幻覚で隠されていた本当の橋を出現させてもらい、魔法のアイテムをいくつか貰
う。しかもこの爺さん、主人公を祝福し原強運点を1上げてくれるのだ! なら10回ほ
ど祝福しておいて欲しいものだが、さすがにそれは高望みというものだ。

 ようやくマンパン砦に到着。だが入り口が見える距離まで来て
も、周囲は山地ゆえ視界が悪い。ここは素早く駆け抜けるとき! 
途中で酔い潰れている衛兵を発見するが、当然始末しておく。
人道などというぬるま湯が存在する場所ではないのだ。小銭と食
料を奪ったら砦へ向かう。砦近くの洞窟で寝ていると、女神リブラ
が夢枕に立つ。なんでもここから先は助けてやれないとの
事。仕方ないのでここでリブラ様パワーを使い全能力値を完全回
復しておく。さらにリブラ様はマンパン砦の隠し戸を開ける合言葉
を教えてくれた。

十四日目

 朝、目を覚ますとまずは砦の入り口をノック。素早く門の上によじ登って突起に張り付く。出て
きた衛兵は気づかずに下を通り過ぎた。ギャグコントみたいな場面だが、ここはじっと様
子を見るべし。蛇から情報を聞きだしていたなら衛兵が四人いる事がわかっている筈だ。次々
と出てくる衛兵を門の上でじっとやりすごし、四人目が行き過ぎてから地面に跳び下りて塀内に
忍び込む。

 塀の内側に来たが、砦の入り口は閉ざされている。正門(両扉)の両脇には小さな扉がある
のでそちらを当たる。せっかくだから自分は右の扉を選ぶぜ。中から衛兵の話し声がするので
まずは聞き耳だ。ようやく主人公も間者らしくなってきたぜ。ちょっとした砦の内情を聞
き、連中も一枚岩ではない事を知ったら待ち伏せの時だ。敵の足音が近づいた時に、扉を内
側に叩きつけろ! これで衛兵の一人は負傷、中にはもう一人いるがこいつも不意打ちに慌
てている。さらに魔法で追い打ちもかけられる……のだが、既に主人公の戦闘力(技術
点+アイテムによる補正)は12。砦に入るまでは1減らされているがそれでも11だ。小
細工なしで襲い掛かる事にした。完勝。部屋の中で鍵を発見したので、正門を開けて砦の中
へ入る。

 だが向こうは中庭。まだ砦には入れない。中庭内は様々な種族が集団を作っており、全てを
迂回して進むことはできない。
 まずは晒し台があるのでそちらへ。罪人(反逆者?)が捕まっているが、実はこいつもクソ
ッタレなペテン師なので係わり合いになるのは避けるべし。衛兵の一段を避けて進めば地
面に転がるボロきれに近づく事になる。

 近寄るとボロきれが起き出した。それもそのはず、このボロは乞
食の婆さんなのだ。まずは金貨を恵んでやる。すると喜びのあま
り、シンから来た味方とやらの存在について漏らす。慌て
て隠そうとする老婆だが、ここはあえて追及すべし。正直者か
どうかを感じさせろと言うので許可。これで情報を教えてもらえるし
強運点も2回復する。その後は老婆の身の上を聞いてやり、
老婆を虐めている連中を倒してやると約束すべし。
 老婆と別れるとまた別の集団の側を通らねばならない。見覚えのある一団がいるのでそ
ちらへ。近づけばわかるが物見である。手招きするのでさらに接近。ここにどんな危険がある
か忠告してやるから金貨3枚よこせと要求してくる。阿呆が、危険に見舞われているの
は貴様等だ。遠慮なく断って戦闘開始。ここで凄い樫木の槍を使えば槍が自動的に戦ってく
れ、物見どもはあっさり全滅する。
 物見の所持品を巻き上げてから、乞食の老婆に戦勝報告。老婆は砦内の情報と魔法の道
具をくれるが、それよりも凄いのは主人公の原強運点を1上げてくれる事だ。1巻開始
から数えればもう4点アップしている計算になる。

 老婆と別れ先へ。砦へ続く扉の前へ来るが、これも近くの柱も無視してまずは壁の隅にあ
る扉へ。奇妙な小人が出てきて粘液獣いじめがどうこうとほざく。中には扉が二つあるので左
へ。
 生ゴミ捨て場みたいな部屋に粘液獣がいるが、こいつに用は無いので先へ。何を考えたか
粘液獣が襲い掛かってくるのでNIFの術を叩き込む。この怪物、生ゴミ捨て場に住んでい
る癖に悪臭に弱く、この呪文で即死する。こちらは既に鼻栓を持っているので無問題。
悪臭対決に勝利し、鼻栓も誇らしくゴミ捨て場を漁る。いくつかのアイテムを発見。だがここま
で来たら大概物は間に合っている。とりあえず拾える物(骨とか錆びた剣とか、場所に相
応しい物が多い)は拾っておくが。入ってきた戸の向かいにある扉からこの部屋を出る。
 そこは短い廊下。次の扉に入る前に休憩できそうな小部屋があるので食事休憩。ここで
者ジャドラクが亡霊となって登場! なんと大魔法使いの手下に殺されたとの事。彼は
大魔法使いの手下達の情報を教えてくれる。初対面の時に教えてくれても良さそうな
物だが死に行く老人にそんな事を言ってはいけないのだ。

 小部屋を出て次の部屋へ。中には怪しいデブがいた。いきな
り金を要求してくるが、まずは名前を尋ねるべし。するとこいつが
マンパン財務官第一助手ヴァリーニャだとわかる。蛇の情
報を思い出せば、こいつに金をくれてやってはいけないとわかる
筈。ひたすら拒み続け、取引もしない。呪文を使える項目まで来た
武器を抜け! 脅して砦への合言葉を吐かせたうえに小銭を
巻き上げる事に成功。主人公はもはやどこに出しても恥ず
かしくない立派な押し込み強盗だ。
 アナランド者だとばれてないので妨害無く両扉まで行ける。合言葉を使って開き、ようやく砦
の中へ入る事ができた。いやー長かった。しかもまだ先は続くのだ。

 砦の中は人(ただし人間に非ず)の気配でいっぱいである。道は二つあるので左へ。前
から誰か来るようなので左の扉へ入る。

 部屋の中には鳥人が三人いた。しかしすぐには襲い掛か
ってこないので話しかけるべし。話題は家族の健康について。
こんな不審者に対し「おかんは元気だが?」と答えてくれる鳥
人。ここで会話を続けてアナランド出身だと名乗り、冠に興味があ
るのだと白状すべし。この鳥人達こそがシンの篤志家であ
り、大魔法使いを敵とする同志なのだ。彼らは盟友の証として
の笛をくれる。これは重要なアイテムなのだ(魔法使いならば必
須というわけでもないが)。
 部屋を出たら、左へ曲がって突き当たりへ。突き当たりの戸に
は鍵がかかっているのだが、実は自分はこの扉を開ける鍵
がどこにあるのか知らない。20年来の謎に頭を悩ませなが
ら、ここは中に声をかけて開けてもらう事にする。中にいる者は確
かに鍵を開けてはくれるのだが、罠までは外してくれない
で、扉を開けた途端に“明けの明星(モーニングスター)”が振り子
のごとく打ち込まれる。これは運試しにより回避。部屋の中にいる
のは拷問係のオーガー・ナガマンテ。首の位置がどうに
も不自然なナイスガイだ。彼とは取引に応じて会話を続ける
のが良。とりあえず拷問部屋を誉めまくれ! ナガマンテは
意外と素朴な奴で、自分のお気に入りなのに誰も誉めてくれない
拷問部屋(当たり前だ)をおだてられると妙に親切になるのだ。
彼から次のスローベンドア(要所を守る魔法罠つきの扉)の秘密を聞き出して部屋を出る。

 拷問部屋を出るために左の扉へ。中庭沿いの廊下を歩いて商人の売り物を覗く。ヴァリー
ニャそっくりの格好をした商人が様々な商品を並べているが、ここで買う必要があるのは
ロウソク一組だけだ。これを買ったらさっさと部屋を出る。
 しばらく進むと大きな両開きの扉がある。脇にも小さな扉があるが無視。両開きの扉を開け
れば、中は炎燃え盛る火炎地獄だ。しかしナガマンテからの情報を頼りに恐れず飛び込む。
炎の海は消え、部屋を通り抜けて次の扉へ。

 次の部屋は「夜の間」。中は灯りの無い部屋で、しかも床から刃物が無数に飛び出してい
るのだ。なんとなくチンケな感じだがとりあえずロウソクに火を灯す。血のロウソクは罠なの
で使わない。出てくる選択肢の一番上だけ選んでいればすぐに部屋を通り抜ける事ができ
る。

 次の部屋はなんと衛兵の詰め所だ。闇から出たばかりで目が
慣れていない主人公はあっさり捕まり、隊長の前へ引っ張り出さ
れる。しかし本丸の衛兵どもは隊長に何か報告する度に
夜の間を通っているのか? 腹を決めて隊長と向き合う。背
嚢から道具を出す事はできるようなので一巻で見つけたロケットを
取り出し、適当なでっちあげを延々と語る。あなたの恋人から
これを受け取りました、彼女はまだ貴方を愛してますよ
とかいうバカ話をあっさり信じてしまうから不思議だ。こんなんに
隊長やらせていいんか。しかもこの隊長、奥へ進むための鍵
までくれやがる。公私混同にも程があらあ!
 次の部屋は牙の生えた羊の像がある部屋。部屋を横切ろうとすると案の定襲い掛かってく
る。神風突撃を一旦避けてから三巻でディンテンタから貰った小瓶を投げつける。短時
間だが羊像の足止めができるので、この隙に出口へ走れ! 隊長から貰った鍵で扉をあけて
部屋を飛び出す。突破。

 扉の向こうは螺旋階段だったので、それを突き当たりまで登る。
てっぺんには扉が一つ。その向こうは大魔法使いの部屋……で
はなく、禿な下腹デブが囚われている部屋だった。さすが
ゲームブックの最高峰、監禁するにしても可憐な姫様なんぞ
は選ばないぜ。デブに話しかければ、彼はファレン・ワイドと
いう武器専門の科学者と名乗る。彼がいう事には、大魔法
使いはこの砦には住んでいないとの事。彼の術により、窓
の外に真の住居とやらが姿を現した。さらにワイドに助言を求め
ると、外へ出る隠し扉を教えてくれる。なぜワイドがこれを使って
逃げないのかといえば、彼はこの扉を抜けるのに必要な合言葉
を知らないとの事。とりあえず扉の前まで行き、ここで合言葉。そ
う、リブラ様から教えてもらった奴だ。見事に扉は開き、脱
出成功。

 魔法使いの塔の入り口には兵などいない。だが鍵はかかっており、これを体当たりでこじ
あけねばならない。一発で成功させて塔内へ。
 まずは扉が二つ。ここは左。
 中は腐臭の漂う部屋だが、気にせず侵入。奥に何か転がっているが、黙殺して出口へ。扉に
手を触れようとすると姿無き声が「開けるな」と脅しをかけてくるが怯む必要など無い。扉を
開ければ螺旋階段があるのでひたすら上へ。扉があったので突入。

 ようやく魔法使いらしき人物と御対面。創元版の表紙に
いた人だが、創土社版ではツラを拝めるのはここだけか。冠を返
せと詰め寄ると、あっさりとOKしてくれる。ただし武器は置い
ていけというので粘液獣の部屋で拾った錆びた剣を渡す
事にした。途端に魔法使いは笑い出し、隠し扉から衛兵が奇
襲。主人公はまたもや捕まってしまう。こうして主人公は最
上階の牢獄にブチ込まれる事となった。とりあえず「不意打ちだか
ら捕まるよね」というのを1巻で2回やるのはNGだと思う。

 牢獄では豆人のジャンと再会。1巻からプレイしていない人には誰だかわからん筈
だがまぁいい。ジャンがここは「とっておきの囚人だけを入れる牢獄の塔」だと言うので疑問が
沸くはずだ。無論それはジャンのどこがとっておきの囚人なのかだが、それを聞く選択
肢は無いので仕方なくファレン・ワイドの事を話す。するとワイドが魔法使いの変装だと教
えてくれる。これを聞いたらあとはここから脱出するのみ――だが、その手段は非常に限られ
ているのだ。
 まずはジャンに相談。果報は寝て待てと言うがコイツの言うとおりにするとロクでもな
い目にあうので無視。使えそうな呪文を考える。ジャンは無駄だというが、主人公がZED
の術を使えると知るや否や態度を豹変させる。詳しく話を聞くと、ジャンはZEDの術が
どんな物なのか知っているとの事。

 かつてZEDの術はマンパンにて時間の神の司祭達が編み出したものだった。だが豆人の一
人がその術を盗み出したのだ。後に豆人が各地に離散する目に会った(ここら辺は「タイタン」
に詳しい)が、件の豆人はスローベンの地にすむネクロマンサーという魔術師に身売りし、ZE
Dの奥義を売り飛ばした。

 なかなかナイスな設定だ。まさか魔術の奥義が食い詰めた泥棒によって伝えられ
た物だったとは、日本人なら絶対やらない設定だろう。
 ともかくZEDが前もって完全な集中の必要な術だとわかったので、主人公はこの術を操る事
ができる。さっそくZEDの術を発動。周囲の景色が流転し時間旅行が始まった。術が終わ
ると、そこは見覚えのある螺旋階段の上。さっそく近くの扉に入る。

 ファレン・ワイド再び。既に正体を知っているのでそれを告
げる。やはりパラグラフジャンプこそゲームブックの華だ。 開き
直ったワイドはその正体を表す。ついにマンパンの大魔法使いが
……ってこりゃ魔法使いじゃなくて悪魔だろ。武器で戦えば
「冥府の魔王」と表記されるしな。おそらく黒魔術に傾倒するあ
まり魔物と化してしまったのだろう、と勝手な納得をして最後の術
を選ぶ。使うべきはZAPの術。


































 悪は滅びた。しかし主人公の旅は完了したわけではない。だがここまで来て勿体ぶるのも面
倒。冠を掴んだらすぐに背嚢から銀の笛を取り出して使う。すぐにシンの篤志家ピーウィット・ク
ルーが飛んできてくれた。彼に運ばれ空路で砦を脱出。こうして大魔法使いは滅び、冠は取り
戻された。

 こうして冒険は終わった……。

終了
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