ワルキューレの冒険(1〜3)

 ゲームブックにも短いながら様々な時期があった。海外から輸入され、ぼつぼつ国産品が作
られ、様々な方向を模索し、氾濫し奇形化し大絶滅の時期を迎える……途中から生物
の進化論みたいな話になったが、まぁ最盛期の後半〜絶滅までの間に色々な方向へ走る奴
が出るのはどの世界でも同じ事。中にはゲームブックでパーティープレイをやろうとし
た作品もあり、このワルキューレシリーズもその一つだったりする。
 ナムコの同タイトルファミコンゲームをゲームブッック化した作品だが、原作がワルキューレ
一人で延々戦うアクションRPGだったのに、このゲームブックは主人公が人間の青
年。旅を続けながら仲間を増やし、最終的にはワルキューレを含めた4人パーティで
戦う。
 パーティーを組むゲームブックはプレイヤーが一人である事、アナログで管理する事を踏ま
え、何かしら工夫する場合が多い。大概の場合は管理する数値の数を減らし、戦闘も手間が
減るよう設計し……なのだが、この作品は違った。本当に最大四人分のキャ
ラクターシートを用意させ、全員の数値を管理してくれっていう
方法をとった。所持品・所持金・経験値に至るまで、仲間全員が個別に持っているって
わけだ!
 まぁ能力値は技量・体力・知力の三つだけだし、持ち物なんかもそんなに多くないけどよ……
いざ戦闘になったら四人分の交戦判定を個別にやろうというのはナシだろう……。
も全員個別に技量・攻撃力・体力を持ってるしさ。
 流石に作者も途中で気づいたのだろう、2巻後半〜3巻では強力な魔法が使える
ようになり、ほとんどのザコ戦闘は一方的に蹴散らせるようになっている。魔法習得
「アイテムを持っている=該当する魔法が使える」というシステムなため、知力ポイ
ント(MP)の残っているキャラがアイテムを持ち回せば強力で消費の激しい魔法でもかなりの
回数を使う事が可能だ。MPの管理が難易度を左右するとはなかなかに戦略があるじゃ
あないか。でもそれに気づくまでは苦行みたいな戦闘が何度もあってな……。
 まぁ攻略法に気づかないと辛いのは当たり前。RPGってのは難しいゲームだった時
代の作品なのだ。これをプレイしながらゲーム難易度今昔に思いを馳せるのも一興。キャ
ラクターシートを4枚用意してからな。
 
プレイ記録はこちら

【サンディ】
 仲間になるキャラの一人。元は領主の娘さんだったが、ゾウナの部下に両親を殺され、復讐するため盗賊となる。設定上は男装しており主人公も途中まで女性だと気づかなかった。2巻の最後で敵に攫われ、ワルキューレを差し置いて事実上のヒロインの座につく。
【ニスペン】
 仲間になるキャラの一人。気は優しくて力持ちの大男。こういうキャラが一人は味方にいたのが80年代センスなんだよな、最近は美形率が高くてデカブツがハブられるから困る。なお戦士系キャラではあるがゲームのシステム上、肉弾戦能力は大概主人公に劣る事になる。立場微妙。
【ゾウナ】
 ラスボス。しかし悲しいかな、戦闘能力はここまでレベルアップしてきた主人公に普通に劣り、大概は集団リンチの末に葬られる。特に秘密やどんでん返しもなく、普通に戦って倒されて終了。三部作の最後にしてはあっさりしたボスキャラ。
【シーザス】
 ゾウナの部下。複数いるらしく、1・2巻において何度か戦う事となる。どことなくユーモラスで可愛い顔をしているのが特徴。なんとなくウルトラマンのマイナー怪獣といっても知らない人を騙せそうな外観だが、こいつは原作ゲームに存在する敵キャラだったりする。

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